文献

『出雲国風土記』

  • 和銅6年(713)元明天皇により編纂が命じられ、天平5年(732)に完成し聖武天皇に奏上されたと云われる。
    出雲臣広島 監修・神宅臣金太理(ミヤケノオミカナタリ) 編纂。
  • 出雲国風土記の原文というのは既に失われている。
    (ネット上で「原文」等と称している場合、大抵改変の多い「訂正出雲風土記」を元にしたものであり、原文ではない)
  • 今に残る写本には散逸異同が多い事が知られている。
    公開されている書影の内、白井文庫のものを底本に用いる事にする。
    (岸埼氏の方が古いが、注釈が多い為参照に留める)
  • 底本:国立国会図書館蔵本デジタル化資料(白井文庫/享保13年-1728年写/通称「国会図書館本」)
    文中に「甫曰」とある「甫」は地誌学者 関祖衡(セキソコウ)(本齋 関老甫)の事。
    「日本輿地通志」を著した。蕉門曽良との交流が知られる。
    江戸幕府の命を受け幕府所蔵の出雲国風土記を校合書写したという。
  • 参考:国立公文書館所蔵「出雲国風土記 全」通称「紅葉山本」江戸幕府紅葉山文庫に所蔵の出雲国風土記。
  • 参考:島根大学図書館Digital Archive(「出雲風土記抄-4分冊-」岸埼時照著/松江桑原家旧蔵本/天和3年-1683年/出雲国風土記の注釈書)
  • 参考:国立国会図書館デジタルコレクション(「出雲風土記-4巻-」藤浪氏蔵本)書誌では「出雲国風土記4巻」。題箋には「出雲風土記」とあるが、岸埼時照の出雲風土記抄である。
  • 参考:島根大学図書館Digital Archive(「出雲風土記鈔-2帖-」 望月重熈書写。「望月本」と呼ばれる。元亨利貞の4帖であったうちの2帖のみ残り、意宇郡・嶋根郡・秋鹿郡が消失している)
  • 参考:「雲陽誌」享保2年(1717年)松江藩士、黒澤長尚の編になる地誌。
  • 参考:國學院大學図書館デジタルライブラリー:「出雲国風土記 附豊後国山城国残編」(鶏頭院天忠校正本/享保10年-1725)鶏頭院は比叡山延暦寺の僧坊。天忠はその住持であろう。荷田春満と交流があったらしい。
  • 参考:「出雲国風土記考」(荷田春満(カダノアズママロ)/江守善六氏寄贈/慶應義塾図書館蔵)Google booksに掲載されている。…和装本で、題字は「出雲国風土記」。冒頭に荷田春満考と記されており、「出雲国風土記考」は通称である。
    寛保二年(1742)十月「荷田在満(カダノアリマロ)」の奥書があり、「養父春満校正手録云々」と記している。行書手書き故読みにくい。
    ・国立公文書館に「出雲国風土記考」として春満考が掲載されている。通称「内閣文庫本」
    (「新編荷田春満全集-3-日本書紀・風土記」國學院大學/2005年/おうふう刊 書誌に、自筆本と在満本(植垣節也氏蔵本)を収録している)
  • 参考:東京国立博物館デジタルライブラリー「出雲風土記解」(内山眞龍撰/天明7年(1787)写/上中下3帖)…記紀に沿うような解釈改変が多い。殆ど妄想に近い。
    • 中巻記入の頁番号は10頁以降ずれているので要注意。
  • 参考:「出雲日記」(内山眞龍/天明6年-1786/自筆巻子:浜松市立中央図書館デジタルアーカイブ 書影
    上記「出雲風土記解」と関連する、眞龍の紀行文。
    (全容詳細は解りやすいが、拡大横スクロールしなければならずスクロールバーが無い為扱いづらい。)
    ・早稲田大学図書館蔵書九曜文庫デジタルアーカイブに写本「出雲行日記」が掲載されている。
  • 参考:「訂正出雲風土記」/梅之舎大人(千家俊信)/(文化3年-1806年)
    梅之舎は千家俊信の私塾名。書名の通り内山眞龍の説を取り入れ独自解釈による改変が多い。「訂正」では無く「改変」である。
    木版として多数出版された為、後の刊本はこれに従っている場合が多い。
    ・国立国会図書館デジタルコレクション「訂正出雲風土記-上下-」(河内屋喜兵衛版/文化3年7月刊-1806年)
    ・島根大学図書館Digital Archive(「訂正出雲風土記」
    下巻に複写欠落がある。
    ・早稲田大学図書館古典籍データベース「訂正出雲風土記(上下)(浪速 文海堂/文化3年7月刊)
  • 参考:「出雲國式社考」梅舎大人撰 岩政信比古校訂/天保14年(1843)/内閣文庫
  • 参考:東京国立博物館デジタルライブラリー(「出雲風土記全」越智直澄写/文政12年-1829)
    元本は賀茂神社伝の万葉緯本で、谷川士清が寛保癸亥3年(1743)に書写した蔵本を更に書写したもの。千家俊信の自説に基く校合が赤字で入っている。水戸徳川家徳川宗敬からの寄贈本。千家俊信の校合を無視すれば信頼度は高い。
  • 参考:「出雲国風土記諸本集/秋本吉徳 編/勉誠社/」(細川家本・倉野本・日御碕本・萬葉緯本の各書影を収録している)
    ・細川家本:細川護貞氏所蔵本(慶長2年-1597年)は現在熊本大学附属図書館細川家北岡文庫(永青文庫)として保存されている。
    徳川家康が所持していた出雲国風土記を細川幽斎が1597年に書写したと云われるが、島根郡などに欠落がある。
    ・倉野本:倉野憲司所蔵本(倉野氏甲本とも云う)最後の一葉を欠くため書写年不明。出雲風土記抄からの引用があるため1683年以前の書写とはいえない。
    ・日御碕本:日御碕神社所蔵本。寛永11年(1632)尾張藩主徳川義直の寄進によるもので、尾張徳川家本(名古屋蓬文庫所蔵)を転写したものとされる。
    ・萬葉緯本:賀茂別雷神社 三手文庫所蔵本。今井似閑編の「万葉緯」20巻中の巻15に収録。

書誌検索「出雲国風土記」

  • 参考:「出雲風土記」(野津左馬之助/島根県皇典講究分所編 1911年 松陽新報社)Google booksに無料掲載されている。
    (引用の際は「野津風土記」と略す)
  • 参考:「日本古典全集-古風土記集-上-出雲風土記/大正15年刊/與謝野寛・正宗敦夫・與謝野晶子編纂/日本古典全集刊行会」訂正出雲風土記の版本をそのまま縮刷印刷した物。
  • 参考:「風土記」岩波文庫/国立国会図書館蔵本デジタル化資料//武田祐吉編/S12年刊(出雲国風土記以外の風土記も収録)
    「出雲国風土記」は44コマ81p
    「訂正出雲風土記」を底本とした読み下し文。「標注古風土記」「出雲国風土記考証」及び家蔵の写本を参考にしているという。
    訂正出雲風土記を読み下し、標柱・考証を部分的に脚注に加えているだけである。
    (訂正出雲風土記には読みが振ってあるので読み下し文にする意味は無い)
    (手持ちはISBN4-00-300031-5)
  • 参考:「田中卓著作集-8-出雲国風土記の研究」昭和63年5月30日/初版/国書刊行会
    「出雲国風土記の研究」(昭和28年刊)の他、関連の論考を収録
    (校定・出雲国風土記)部分では、底本として「出雲国風土記鈔」(桑原本)の本文部分を用いている。副本として倉野本・萬葉緯本・細川家本。
    p24で訂正出雲風土記について「~之は内山真龍の出雲風土記解の本文を基に私見を加えた点の多い不純なものであるから、原則としては採用しないこととした。~」と記している。
    • 後に皇国史観に偏向してゆく以前のまともな頃の研究である。
  • 参考:「校注出雲国風土記」加藤義成著/千鳥書房刊s49.4.1 修正3版…下の「参究」の旧版をベースにしている。
  • 参考:「修訂出雲国風土記参究」(加藤義成/松江今井書店/昭和56年-1981年5月1日刊 改訂3版)…底本に細川家本を挙げているが改変が多く、実際には訂正出雲風土記を底本に用いていると思われる。解説は「出雲国風土記考証」からの孫引きが多い。
    行政や観光案内では、加藤の説を流用したものが多い。
  • 参考:「出雲国風土記」(荻原千鶴/講談社/学術文庫-1382/1999年)…底本に細川家本を挙げているが上記「参究」の孫引きが多い。過半は加藤の参究を丸ごと引用し簡略に記しているような内容である。「学術文庫」と称するにはあまりに稚拙。
  • 参考:「出雲国風土記」(沖森卓也・佐藤信・矢嶋泉 編著/山川出版社/2005年4月5日刊)…勉誠社「出雲国風土記諸本集」から「細川家本」を取りあげ、本文・訓読を記したという。あとがきで「~本文を尊重し、恣意的な改変をできるだけ避けながら~」と記しているが、恣意的な改変がある。参照も兼ねて、細川家本の書影を全頁掲載しておく。また具体的な改変部分については必要に応じて個別に「山川版」として記す。

以下は、直接参照できていないが、他書に引用されていることがあるので挙げておく。

  • 他:「出雲風土記密勅」春日信風(文化5年1808年10月)/「訂正出雲風土記」に誤りが多くそれを指摘する目的で書かれたという。
    (比布智神社神職)島根県立図書館の「官幣大社出雲大社蔵文書」という所蔵群に含まれているらしいが検索しても出てこない。
  • 他:「出雲風土記考」横山永福(弘化3年1846年)/島根県立図書館所蔵の「出雲叢書」に収録されているらしいが未見
  • 他:「出雲國風土記」国造家本/今井似閑が書写したものが京都賀茂神社に残っているらしいが未見。
    上記「萬葉緯本」の元となっているらしいが経緯に疑問もある。「萬葉緯本」を「国造家本」とか「國造家秘本」とか呼んでいたりする。
    尚出雲国造家に原本はないらしい。

  • 活字化されたものは活字化の段階で既に取捨斟酌されているので注意が必要。既に失われた原本を1次資料とすれば、4次資料相当。
  • 「出雲国風土記」と記したものと「出雲風土記」と記したものがある。
    岸埼本で題字は「出雲風土記抄」であるが本文中では「出雲国風土記」と国をつけている。
    内山眞龍は題字本文共「出雲風土記解」としているから、国を外すのは眞龍以降と云えるのであろう。
    諸風土記は「~国風土記」であるから国を外す理由はなく誤りである。
  • 記載のリンク先は、記述時のものであり、各図書館などは理由は不明だが頻繁にURLを変えるので、リンク切れの場合には各館TOPページから辿ることを勧める。
    気づいた際には修正するつもりではあるが、付き合いきれないことも多々あるのでご容赦。

『出雲国風土記』総記
『出雲国風土記』意宇郡
『出雲国風土記』意宇郡2
『出雲国風土記』嶋根郡
『出雲国風土記』秋鹿郡
『出雲国風土記』楯縫郡
『出雲国風土記』出雲郡
『出雲国風土記』神門郡
『出雲国風土記』飯石郡
『出雲国風土記』仁多郡
『出雲国風土記』大原郡
『出雲国風土記』後記

書影文字起こし
『出雲国風土記』細川家本
『出雲国風土記』日御﨑本
『出雲国風土記』倉野本
『出雲国風土記』萬葉緯本
『出雲国風土記』萬葉緯本NDL
『出雲国風土記』紅葉山本

『出雲風土記抄』桑原本
『出雲国風土記』荷田春満考
『出雲国風土記考』荷田春満(内閣文庫)
『出雲風土記解』
『訂正出雲風土記』


「出雲国風土記」記載の距離尺度は天平尺とされる。
尺=0.296(m) /丈(10尺)=2.96(m)
歩=1.776(m) /里(300歩)=532.8(m)
町(60歩)=106.56(m)

  • 天平尺…正倉院御物にある「紅牙撥鏤尺(コウゲバチルノシャク)」を度量衡基準とした長さ。

校注出雲国風土記収録「出雲国風土記要図」
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島根の国絵図」島根大学附属図書館デジタルアーカイブ


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Last-modified: 2022-05-15 (日) 05:26:23 (47d)