メモ

ホーランエンヤ
いつかどこかに詳述したのだが、どこに書いたのか忘れてしまった。

海の神事であり、櫂伝馬船で「ホーランエンヤ」という掛け声と共に少年の剣を用いた歌舞伎舞いで先導される渡御祭である。
出雲・大分・尾道・祝島・萩・佐賀等各地で行われている。

歌舞伎舞いということから、その起源は江戸期以上に遡ることはないと見ている。

ふと思い出したのは、出雲のホーランエンヤ、11年ごとに行われてきているのだが、このホーランエンヤが、阿太加夜神社への渡御祭であること。

阿太加夜神社の祭神は出雲風土記にある「阿太加夜努志多岐吉比売命」だが、この姫神が「多伎都比古命」とどういう関係にあるのかと云う点が気になった。
というのも、この「阿太加夜努志多岐吉比売命」を「多伎都比売命」に同じと見なしているような記述があったりする。
多岐吉比売(たききひめ)と多伎都比売(たきつひめ)の音が似ていると云う点で同一視している訳だ。

又「多伎都比古命・多伎都比売命」と並んで祀る神社が幾つかあり、その場合、兄妹なのか夫婦なのか判然としない。

そもそも「阿太加夜努志多岐吉比売命」が果たして「多伎都比売命」なのかという点は気を付けてみなければならない。
「阿太加夜努志多岐吉比売命」は大穴持命の御子であり、「多伎都比古命」から見れば伯母に当たる。
それ故、安易に「多伎都比売命」と同一と見立てるのは問題が多い、というか、はっきり間違っている訳だ。

単純に、そういう系譜関係を知らない無知による把握&記述なのであればこの件は終わる。


最近net上に、神社や神格に関する記述がかなり増えてきていて、相当に怪しいものも多くなっていると感じる昨今なのではある。
埋もれていた各地神社が掘り起こされ紹介されることは喜ばしいことであると思うのではあるが、
明治期、国家神道に基づき各地神社の系列化を図った際、社格を得んが為に、適当にでっち上げたような縁起や祭神変更を真に受けるようなことには注意すべきと思う次第。
その先に、狂気の戦争があったことは忘れてはならないと思う。


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