[[神名解題a]] ***「国常立尊」 [#he8e8050] (クニノトコタチノミコト) 書記本文で最初に記される神。 古事記では6番目に現れる神であり、「国常立神」と記してある。 この神は、海の民達が、定住を始め、国作りを行っていく過程の最終段階の神格であると考えている。 つまり最初に、定住を始める際ささやかに祀る土地神が天常立尊で、 暫時定住が進み安定化した時に祀る土地神が国狭槌尊であり、 国作りがある程度出来上がった際に国津神として祀る神格が国常立尊である。 この神は、王権からは忌み嫌われ、怖れられていた神でもある。 明治に入り、新興神道として大本教というものが成立したが、大本教成立に際して、開祖「出口ナヲ」が教示を受けたのが 「艮之金神」(ウシトラノコンジン)「宇志採羅根真」であり、即ち、「国常立尊」であったという。 この神格は、他の金光教や天理教でも最高神として扱われる神格である。 平安京の造京の際、艮、即ち東北方向に、比叡山延暦寺を配し、王都鎮守の要にしている。 これは、艮の方角は鬼門とされ、悪神がこの方角から入って来るという伝承背景があった為である。 王権にとっては、忌み嫌われる神格でありながら、反王権にとっては最高神格であるという、 非常に興味深い点に考慮しておく必要がある。 王権にとって、海の民はまつろわぬ民であり、彼らが奉祭する御祖神の最終段階である国常立尊が 忌み嫌われるのは、この国の歴史形成生成過程の一端を垣間見せてくれるのである。 各地にある「大元神社」の主祭神である。