[[文献]]
[[『古事記』]]


''&color(blue,){『古事記』序};''

#ref(http://k-pj.com/~fuushi/pwk8/jpg/kojikis/kojiki-s003.jpg)
CENTER:(真福寺本書影)
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***&color(navy,){古事記 上巻 序幷}; [#afedafc5]
&color(darkgreen,){&ruby(フルコトフミ){古事記}; &ruby(カミツマキ){上巻}; &ruby(ジョアワセ){序幷};たり};
---卜部系諸本では「古事記 上巻 幷序」

***&color(navy,){臣安萬侶言 夫 混元既凝 氣象未效 無名無爲 誰知其形 }; [#sbdc8643]

&color(darkgreen,){臣安萬侶&ruby(マヲ){言};す。それ、&ruby(マロカレ){混元};既に&ruby(コ){凝};りて、&ruby(キザシ){気象};未だあらわれず。名も無く&ruby(シワザ){爲};も無ければ、誰か其の&ruby(カタ){形};を知らむ。};
---「爲」を岩波文庫では(わざ)と読んでいる。「無為」は(動きがない}の意味。
---「效」は「敷」に見えるのだが・・・・「気象未敷」であれば(気象未だひろがらず)か?&br;「敦」と見るものもある。「效」としたのは宣長の「古訓古事記」に依るらしい。&br;→参考:[[早稲田大学図書館蔵「古訓古事記」:http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ri05/ri05_01012/index.html]]/[[該当頁書智影:http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/ri05/ri05_01012/ri05_01012_0001/ri05_01012_0001_p0005.jpg]]&br;「效」の採用は観智院本名義抄に「効は效の俗字」とあり、アラハスの訓がある事によるらしい。&br;「玄奘表啓平安初期点」では「未遠」(イマダトオクアラズ)とあるらしいが未見。&br;(安万呂の上表文にこだわっていても仕方ないので、この件一時中座)

***&color(navy,){然 乾坤初分 參神作造化之首 陰陽斯開 二靈爲群品之祖 }; [#e0a6666e]

&color(darkgreen,){然あれども、&ruby(アメツチ){乾坤};初めて分かれて、&ruby(ミハシラノカミ){参神};造化の&ruby(ハジメ){首};となれり。&ruby(メヲ){陰陽};ここに開けて、&ruby(フタハシラノカミ){二霊};&ruby(モロモロ){郡品};の&ruby(オヤ){祖};となれり。};

---「乾坤」を岩波文庫では(けんこん)とそのまま読んでいる。

***&color(navy,){所以 出入幽顯 日月彰於洗目 浮沈海水 神祇呈於滌身}; [#e24e8247]

&color(darkgreen,){&ruby(ソエ){所以};に、&ruby(ヨミジウツセミ){幽顕};に&ruby(イデイリ){出入};て、&ruby(ヒノカミツキノカミ){日月};目を洗うに&ruby(アラワ){彰};れ、&ruby(ウシオ){海水};に浮き沈みて、&ruby(アマツカミクニツカミ){神祇};身をすすぐに&ruby(アラ){呈};われたり。};

***&color(navy,){故 太素杳冥 因本教而識孕土産嶋之時 元始綿邈 頼先聖而察生神立人之世 }; [#m0e085de]

&color(darkgreen,){&ruby(カレ){故};、&ruby(モト){太素};は&ruby(クラ){杳冥};けれども、 &ruby(モトツオシヘ){本教};によりて土を孕み島を生みし時を識り、&ruby(ハジメ){元始};&ruby(トホ){綿邈};けれども、&ruby(サキツヒジリ){先聖};によりて神を生み人を立てし世を&ruby(シ){察};れり。};

---「太素杳冥」岩波文庫では、(タイソはヨウメイなれども)
---「本教」は日本古来の伝承の意。
---「綿邈」:観智院本名義抄により、「綿」も「邈」も訓読みで(とほし)である事から「綿邈」で(とほし)と訓んでいる。&br;岩波文庫では(めんばく)としている。

***&color(navy,){寔知 懸鏡吐珠 而百王相續 喫劒切蛇 以万神蕃息與 議安河而平天下 論小濱而淸国土 }; [#n3f4bb0e]

&color(darkgreen,){&ruby(マコト){寔};に知りぬ、鏡を懸け、珠を吐きて、&ruby(モモノキミ){百王};相&ruby(ツ){続};ぎ、&ruby(ツルギ){劒};を&ruby(カ){喫};み、&ruby(オロチ){蛇};を切りて、&ruby(ヨロズノカミ){万神};&ruby(ウマワ){蕃息};りたまい、&ruby(ヤスノカハ){安河};に&ruby(ハカ){議};りて、&ruby(アメノシタ){天下};を平らげ、 小浜に&ruby(アゲツラ){論};ひて、&ruby(クニ){国土};を清めたまいしことを。};
---「蕃息」:岩崎本皇極記訓にある「不蕃息」(ウマハラス)より援用。岩波文庫では(ばんそくせしことを)
---「議安河而平天下」:岩波文庫では(安の河に議りて、天下を&ruby(コト){平};むけ)&br;「淸国土」を(国を清めき)
---岩波文庫は「寔知~国土」を上記のような1文ではなく、與/議の部分で2文に分け解釈している。&br;2文に分けると「知」の範囲が「議安河~」には掛からないことになり問題。。

***&color(navy,){是以 番仁岐命 初降于高千嶺 神倭天皇 經歷于秋津嶋}; [#w962fbbc]

&color(darkgreen,){&ruby(ココ){是};をもちて、&ruby(ホノニニギノミコト){番仁岐命}; 初めて&ruby(タカチホノタケ){高千嶺};に降り、&ruby(カムヤマトノスメラミコト){神倭天皇};、&ruby(アキヅシマ){秋津嶋};に&ruby(ヘ){経歴};たまひき。};
---「番仁岐命」本文にこの表記はない。「天迩岐志国迩岐志天津日高日子番能迩迩藝命」

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***&color(navy,){化熊出川 天劒獲於高倉 生尾遮徑 大烏導於吉野}; [#n1ae90c4]
&color(darkgreen,){熊に&ruby(ナ){化};れるもの川に出て、&ruby(アメノツルギ){天剣};を&ruby(タカクラジ){高倉};に獲たまいき。&ruby(オオウルヒト){尾生};径を&ruby(サ){遮};へて、&ruby(ヤタカラス){大烏};吉野に導きまつりき。};
---化熊出川:本文に熊の話しは出てくるが川の記載はない。&br;岩波文庫では(&ruby(クワイウ){化熊};川を出でて)とし、訳せば「ばけ熊が川から出てきて」となるが、「川から出てきた」のと「川に出てきたの」では意味が異なる。
---尾生:本文では「尾ある」は井氷鹿・石押分の子の他に土雲八十建が記されている。解釈としては前2者。&br;岩波文庫では(&ruby(セイビ){生尾};径を遮りて)その注に「尾のある人々が路にあふれて歓迎し」とかなり誇張。
---ちなみに本文に出てくる「八咫烏」は「大きな烏」のことであり、「三足烏」の事ではない。
咫=親指と人指し指を拡げた長さ。約18cm/八咫=18×8=144cm
それ故、序で「大烏」とあるのを本文を勘案し(ヤタカラス)と読むわけである。
三足烏(=三本足の烏)は中国の伝説であり、記紀には全く出てこない。当然に八咫烏とは無関係。

***&color(navy,){列儛攘賊、聞歌伏仇 卽 覺夢而敬神祇 所以稱賢后}; [#ebd55b73]

***&color(navy,){望烟而撫黎元 於今傳聖帝}; [#wf3deea3]

***&color(navy,){定境開邦 制于近淡海 正姓撰氏 勒于遠飛鳥}; [#h20a7ab9]

***&color(navy,){雖步驟各異 文質不同 莫不稽古以繩風猷於既頽 照今以補典教於欲絶}; [#od2128f4]

***&color(navy,){曁飛鳥淸原大宮御大八洲天皇御世 濳龍體元 洊雷應期 }; [#pbf9d403]

***&color(navy,){開夢歌而相纂業 投夜水而知承基 }; [#i07e1d8e]

***&color(navy,){然 天時未臻 蝉蛻於南山 人事共給 虎步於東國 }; [#u5c508e0]

***&color(navy,){皇輿忽駕 淩渡山川 六師雷震 三軍電逝 }; [#j2d40f3b]

***&color(navy,){杖矛擧威 猛士烟起 絳旗耀兵 凶徒瓦解 }; [#badf7723]

***&color(navy,){未移浹辰 氣沴自淸 乃 放牛息馬 愷悌歸於華夏 卷旌戢戈 儛詠停於都邑 }; [#h0c8c808]

***&color(navy,){歳次大梁 月踵夾鍾 淸原大宮 昇卽天位 }; [#h6f52959]

***&color(navy,){道軼軒后 德跨周王 }; [#c5627729]

***&color(navy,){握乾符而摠六合 得天統而包八荒 }; [#e78e3533]

***&color(navy,){乘二氣之正 齊五行之序}; [#c7d78845]

***&color(navy,){設神理以奬俗 敷英風以弘國 }; [#zf40d047]

***&color(navy,){重加 智海浩汗 潭探上古 }; [#l5ca3568]

***&color(navy,){心鏡煒煌 明覩先代 }; [#z5b92b38]

***&color(navy,){於是天皇詔之 朕聞 諸家之所賷帝紀及本辭 既違正實 多加虛僞 }; [#g9a549b6]

***&color(navy,){當今之時不改其失 未經幾年其旨欲滅 }; [#e1d52f36]

***&color(navy,){斯乃 邦家之經緯 王化之鴻基焉 }; [#heaaa339]

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***&color(navy,){故惟 撰錄帝紀 討覈舊辭 削僞定實 欲流後葉}; [#ga268712]

***&color(navy,){時有舍人 姓稗田 名阿禮 年是廿八}; [#h4567b6a]

***&color(navy,){爲人聰明 度目誦口 拂耳勒心}; [#tbe12ccd]

***&color(navy,){卽 勅語阿禮 令誦習帝皇日継及先代舊辭}; [#q98caa9d]

***&color(navy,){然 運移世異 未行其事矣}; [#l5935179]

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#ref(http://k-pj.com/~fuushi/pwk8/jpg/kojikis/kojiki-s006a.jpg)
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