『古事記』
『古事記』序?

『古事記』上巻p006~

 

(真福寺本p006a)

kojiki-s006a.jpg
 

(別天つ神五柱)

天地初發之時 於高天原成神名 天之御中主神 訓高下天云阿麻下效此
次高御産巣日神 次神産巣日神 此三柱神者 並獨神成坐而 隱身也

天地(アメツチ)初めて(オコリ)し時、高天原(タカマノハラ)に成りませる神の名は、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ) 高の下の天を訓みて阿麻と云う。下は此に(ナラ)う。

次に高御産巣日神(タカミムスヒノカミ)。次に神産巣日神(カミムスヒノカミ)。此の三柱の神は、(トモ)獨神(ヒトリガミ)と成り()して、身を隱しましき。

次國稚如浮脂而 久羅下那洲多陀用幣琉之時 琉字以上十字以音
如葦牙因萌騰之物而成神名、宇摩志阿斯訶備比古遲神 此神名以音
次天之常立神 訓常云登許訓立云多知
此二柱神亦 並獨神成坐而 隱身也

次に、国稚く浮ける脂の如くして、久羅下那洲多陀用幣琉(クラゲナスタダヨエル)時、流の字より以上(カミ)の十字は音をもちいる
葦牙(アシカビ)の如く萌え(アガ)る物に因りて成ませる神の名は、宇摩志阿斯訶備比古遲神(ウマシアシカビヒコジノカミ)此の神の名は音をもちいる

次に天之常立神 常を訓みて登許と云う。立を訓みて多知と云う
此の二柱の神も、(トモ)に独神と成り坐して、身を隠しましき。

上件五柱神者 別天神 。

(カミ)(クダリ)五柱神(イツハシラノカミ)は、別天つ神(コトアマツカミ)

(神代七代)

次成神名 國之常立神 訓常立亦如上
次豐雲上野神
此二柱神亦 獨神成坐而 隱身也

次に成りませる神の名は国之常立神(クニノトコタチノカミ)常立を訓むことも上の如し

次に豊雲野神。(トヨクモノノカミ)

此の二柱神も独神と成りまして、身を隠しましき。

次成神名 宇比地邇
次妹須比智邇 此二神名以音

次に成りませる神の名は、宇比地邇神(ウヒジニノカミ)
次に(イモ)須比智邇神(スヒジニノカミ) 此の二はしらの神の名は音を以ゐる

次角杙神 次妹活杙神 二柱

次に角杙神(ツノクヒノカミ)、次に(イモ)活杙神(イククヒノカミ) 二柱(フタハシラ)

次意富斗能地神 次妹大斗乃辨神 此二神名亦以音

次に意富斗能地神(オホトノヂノカミ)、次に妹大斗乃辨神(オホトノベノカミ) 此の二はしらの神の名も音をもちいる

次淤母陀流神 次妹阿夜 訶志古泥神 此二神名皆以音

次に淤母陀流神(オモダルノカミ)、次に妹阿夜訶志古泥神(アヤカシコネノカミ) 此の二はしらの神の名は皆音を用いる

次伊那岐神 次妹伊邪那美神 此二神名亦以音如上

次に、伊那岐神(イナキノカミ)、次に妹伊邪那美神(イザナミノカミ) 此の二はしらの神の名も音を以ゐること上の如し

上件自国之常立神以下 伊邪那美神以前 并稱神世七代 上二柱獨神 各云一代 次雙十神 各合二神云一代也

上の(クダリ)国之常立神(クニノトコタチノカミ)()以下(シモ)伊邪那美神(イザナミノカミ)より以前(サキ)(アワ)せて神世七代(カミヨナナヨ)()う。 上の二柱の獨神(ヒトリガミ)は、各一代と云う。次に(ナラ)べる十神(トハシラノカミ)は、各二神(フタハシラノカミ)を合わせて一代(ヒトヨ)と云う。


トップ   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS