神名解題a

「都留支日子命」

『出雲国風土記』嶋根郡に山口郷の由来として記載されている。
須佐能烏命の御子とされる。

ツルギヒコと濁音で読まれることが多いが、ツルキヒコと清音のルビが振ってある。
ツルギから剣の神とされることがあるが、清音ツルキである為、剣の神というのは誤りであると言わざるを得ない。
わざわざツルキとルビが振ってあるものをツルギと読むのは、知らないのか作為か奇妙なことである。
ツルギという誤読が更に奇妙な説を生んでいる例も多い。

「都留支」(ツルキ)について、
「都留」は「鶴」或いは「蔓」であると考えられる。
「支」は「来」或いは「木」であろう。
つまり、「都留支」は「鶴来」若しくは「鶴木」或いは「蔓木」のいずれかである。

ここで、都留支日子命の祀られている神社、嵩山の「布自伎美神社」について考えてみると、
「布自伎」は「藤木」であると思われることから、「都留支」は「蔓木」と考えるのが妥当であろう。

即ち「都留支日子命」の語意は「藤の木の蔓」を指していると考えられる。

なぜこのような名が付けられたのかは今となっては不明である。
山口郷或いは嵩山に藤の木があったのか、或いは生誕地に関わることなのか。

いずれにせよ「剣」には関係ない。


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