神社a

◎「田面(タノモ)神社」

島根県安来市伯太町安田520 地理院地図

主祭神:大日靈貴(オオヒルメノムチ)大神

境内社:社名不明(月讀神社であろうか)
境内社:日御﨑神社

境内:荒神:素戔嗚尊


大日靈貴大神は天照大神の異称。
なのだが、こういう説明をしなくてはならない程度に忘れられている。
特別な敬意を払う際の呼び方である。
ちなみに「天照大神(アマテラスオオミカミ)」を天照命とは記さないように、「大日靈貴」に[命]はふさわしくない。

本殿には十六弁八重表菊、即ち天皇家の紋が彫られており、格式の高さを示している。
出雲で十六弁菊紋が彫られた本殿はここだけと記憶する。
後藤は「出雲国風土記考証」p48で「一説に保食神(うけもちのかみ)であらうといふ。」と記しているが、保食神に十六弁菊紋を用いることはありえない。

『出雲国風土記』意宇郡で「多乃毛社」
「延喜式」で「田面神社」
「雲陽誌」では「田面大明神」と呼ばれていたとある。

地元では稲作の神として崇敬されてきたようである。
大田の物部神社の重要な祭礼に「田面祭」というのがあり、これは五穀豊穣を祈る祭礼であり、
「田面神社」というのは稲作に限らず五穀豊穣を祈る神社であったのであろう。

しかしながら、現状かなり荒れている。
水害によるがけ崩れなどあったと聞く。
境内の荒神もその神木が倒れ、素戔嗚尊と彫られた石碑が建てられている。
石碑では荒神も十分な働きをすることができまいから、新たに神木を定めるか、植えて育てるかしたほうが良いと思うのだが。(余所者の戯言ではある)

神社から見渡せる水田も、圃場整備が行われたようであるが、傍の水路は汚れた水が停滞している状況であった。
心が離れれば神も離れる。



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