神社a

○「御津神社」

島根県松江市鹿島町御津2911地理院地図

・本宮神社:伊弉冊尊

・御島明神:市杵島姫命(多紀理姫命・多岐都姫命)

御津漁港を臨む東辺にある。火災により縁起や社歴など失ったという。為に混乱がある。

通説では御島の山頂にあった「御島明神」が『出雲国風土記』嶋根郡記載の「御津社」とされている。が訝しい。
御島は三島・小島・男島とも記されてきた。御津漁港北西沖にある島である。今は「小島(オシマ)」と呼ばれている。
『出雲国風土記』島根郡では「三島」と記されている。

雲陽誌嶋根郡巻4(地誌体系巻1島根郡p63)

「水浦 風土記に御津(みつの)濱と書す此處のことなり。」
「本宮明神 伊弉冊尊なり。本社一間四方西向。拝殿二間梁三間、随神門石鳥居あり。二月十五日九月廿九日祭禮あり。風土記に載る御津社なり」
「小嶋明神 濱より二町ばかり沖にあり。山の高さ百間横百五十間ばかりの岩山なり。市杵島姫(いちきしまひめの)命をまつる。社一間四方西向、石華表(とりゐ)あり、三月十三日九月十三日兩度の祭日なり。」

これによれば、伊弉冊尊をまつる本宮明神が『出雲国風土記』島根郡記載の「御津社」である。

御津浦(御津の濱)にある本宮明神が御津社であるのが当然であろう。
御島明神の市杵島姫命は航海の安全を願ってまつられたものであろう。
島根半島では江戸初期弁財天信仰が広まった事があり、弁財天と同一視された市杵島姫命を御島明神で祭っていたことから、崇敬が広まり御島明神を風土記の御津社と見做すようなことになったものと思われる。
その後さらに多紀理姫命・多岐都姫命が追加されたのであろう。


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