神社a

○「佐香神社
島根県出雲市小境町108地理院地図

主祭神:久斯之神

『出雲国風土記』楯縫郡佐香郷の地名縁起となっている。

「佐香の河内に百八十神等集まり唑す。御厨立給う。今酒を釀し與へ給う。即ち百八十日喜燕し解散ます。故佐香という。」

主祭神「久斯之神」を(くすの神)と読んでいる例が多いが、(くしの神)である。
「久斯」は「奇」(=不思議)であり、米が酒に変わることが不思議なことであるという事から酒造りの神として名づけられ祀られたのであろう。
久斯之神を(くすの神)と読み少彦名命になぞらえるのは薬之神とみなしてのことであろうが疑問。「喜燕」というのはただただ酒を楽しんだのであって薬作りをしたわけではない。

日本酒は元々濁り酒、白酒であり、濁酒(ドブロク)を又猿酒とも呼んでいた。
今は酒税法で自家製造は禁止されているが、かつては濁酒が各所民間で自由に作られていた。
ねばりのある酒で腰が立たなくなるほど強い酒であった。
上記で造られた酒はその様な濁り酒であったであろう。

佐香神社は松尾神社とも云うが、これは古くは佐香神社であったものが、京都の松尾神社(現松尾大社)に肖って、松尾神社と称するようになり、
神社改めで佐香神社を称するようになったのだと思われる。
松尾というのは京都の松尾大社の所在地山名「松尾山」によるものであって出雲とは何の関係もない。
京都の松尾大社は大山咋神を祀ることから佐香神社でも大山咋神を祀るようになったのであろう。

「日本酒発祥の地」と称している件については、まぁ御自由にというしかない。
又素盞嗚尊の八俣大蛇退治の際の酒をここで造ったというのも、誰かが云いだしたのであろうが位置的に無理がある。
神社縁起として出雲国風土記記載内容だけで充分なのであって、あれこれ付会すると却って怪しくなってくる。

それはともかく、酒は水が命であるから、古代佐香川の水がよほど酒造りに適していたのであろうと思われる。



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