『出雲国風土記』荷田春満考
新編荷田春満全集-3-によると、自筆本は
全集の底本には良本として植垣氏蔵本を採用している。書影は無い。
・植垣節也氏蔵本
・内閣文庫本(国立公文書館蔵)
・国会図書館本
・東京都立日比谷図書館本
・九州大学本
・大頭竜神社本
ここで挙げる江守善六氏旧蔵慶應義塾図書館蔵本については記されていない。
春満は底本として紅葉山文庫蔵「出雲国風土記」を用いていたとされる。
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出雲風土記
初葉ノ表 春満考
東南宮北属海
今按宮の字ハ山西の二字なるへし宀ハ山の字
呂ハ西の字形相似たれハ、轉写阿やまりて
山西の二字を宮の一字に作當るなるへし
而らハ東南山西北属海にて義通へし
初葉ノ表
九十三 一百歩 七十三里卅二歩
今按九十三の下歩の字を脱せるなるへし一百歩
の上下七十三三里卅二歩の上下闕文なるへし
初葉ノ表
得而難可誤
今按此句の上下闕文なるへし
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江守善六氏旧蔵本文字起し。
初筆
東南宮北属海
今按東南山西北属海といふ句なるべし 山西二字
を時写あやま里て 宮の一字に 作りたるならん 志
かも南を誤りて宮に作りたる所も見え堂里*1
一百九十三
今按三の下 歩の字を脱世る奈るべし
一百歩
今按此句能上尒数句有類遍し脱世るならん
七十三里卅二歩
今按此句の上尒も数句を脱世る奈るへし
得而難可誤
今按此句能上下闕文奈る遍し
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少領従七位上勲業出雲~
今按業ハ十等欤十一等欤のを転
字尒作多留奈るへし 出雲の下臣の字在へし脱世るか
主政外少初位上勲業林臣
業の字 例案 前尒同し 文位 初位尒勲位の~
を~此業の字ハ 十二等の三字越業の一字尒
あやま里多留欤
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春満全集p414では、
「少領従七位上勲業出雲
今按勲業の字ハ、勲若干等の字を転写誤りて業の一
字に作たるなるへし。文位従七位なれハ、勲位十等
なるへし。勲十等歟、勲十一等歟、の字をあやまり
て勲業に作たるなるへし。【出】雲の下、臣の字を脱
せる歟。
主政外少初位上勲業林臣 今按勲業ハ、勲十二等の誤
なるへし」
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卅一葉
波如社
今按如ハ知の誤加
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此山嚴
今按 嚴ハ嶺の誤り加 志からずハ巖の誤り加
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神門負之
今按之ハ名の誤カ
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與即也
今按與即ハ如郷の誤なるへし
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四十一葉
五十二里有知
欲
今按知欲ハ鹽の可奈書奈るへし 琴引山有鹽と上條より
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あるを證とす 古記にハ知の字を志の音尒用ひ来れり
城恒野家正南
今按恒ハ
恒 の誤カ 家の上尒郡能字有へし 脱せるか
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白恐今按恐ハ惹の誤カ 白惹は和名マタフリ
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今按温の下に泉の字有へし脱世る可
堀故山
今按故ハ坂の誤なるへし
経常有[來刂]
今按経は径の誤り [來刂]ハ剗の誤奈るへし
経常有[來刂]
径[來刂]二字僻案前尒に同し
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川上者木穂判加布川下者河志婆布造度之
右一行未詳一本造を這尒作連り
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