神社a
◎「小田神社」
島根県出雲市多伎町小田503 地理院地図
主祭神：彦火火出見命
『出雲国風土記』神戸郡に記された小田社
元は、西方の鵜島にあったという。
（鵜島を鸕鵜島と記している例がある。鸕鵜はウミウの事とされるが、[鸕（ロ）]も[鵜（ウ）]も共にウのことである。）
西方で地元漁師達が「鵜島」と呼んでいる島は、石見との国境「中島埼」の辺り、田儀川河口沖にあり、この島のことかと思われる。
ちなみに現社地沖合には島が3つ見られるが、2つの小島は双子島と呼ばれている。
今一つは、島ではなく防波堤跡のようである。
鵜島から、現社地南東の髙木の地に移され、更に現社地のある尾山に移された。
社殿は当初現社殿のそば、参道を登った正面にあったようである。
社名の小田神社（小田社）は小田郷の神社という意味であろうから、風土記の頃には既に鵜島から移転していたのであろう。
してみると、鵜島にあった頃の社名は別の呼び名であったと考えられるが、今となっては不明。
かつては「御守大明神」と呼ばれていたという。雲陽誌では「御守明神」。
主祭神の彦火火出見命は山幸彦のことであるが、釣り針を求めて海神の宮に行き、海神の娘豊玉姫と結ばれた。
山幸彦が海神の宮から戻った後、後を追って豊玉姫がやってきたが産屋を建てる前に出産し、産まれたのが「鸕鷀草葺不合尊」という。
豊玉姫は出産後海神の宮に戻ったため、妹の玉依姫によって育てられ、後に「玉依姫」と「鸕鷀草葺不合尊」とは結ばれ、産まれたのが「狭野命」（磐余彦）すなわち神武天皇とされる。
長々記したが、「御守大明神」という呼び方からすると、御守をしたのは玉依姫であるから、本来の祭神は玉依姫であったと考えられる。
豊後に黒の小浜と呼ばれる浜辺があり、鸕鷀草葺不合尊の生誕地と伝えられている。鵜の羽根を産屋の屋根に葺く前に産まれたことで「鸕鷀草葺不合尊」の名前となった。
元社地が鵜島というのは、そのような伝承を引き継いだものと思われる。
黒の小浜というのは、砂浜ではなく石の浜であるが、浜辺の石が黒いという意味ではなく、鵜が多くいて、浜辺が黒く見えるほどであるという意味のようである。
ついでに、鵜の羽根は水を弾くので屋根材として用いられた。
（[鸕（ロ）]と同じく[鷀（ジ）」も鵜のことである。偏の[盧]も[茲]も共に（黒い）という意味であり[鸕][鷀]は共に（黒い鳥）であるが鴛鴦（おしどり）のように雄雌で合わせた表現かと思われる。）
（小田神社）
（小田神社）
（小田神社）
（小田神社）
（小田神社）
（小田神社）
（小田神社）
（小田神社）
（小田神社）
（小田神社）
（小田神社）
（小田神社）
（小田神社）
（小田神社）
・小田東港からの光景。右手の山が小田神社のある尾山。海中奥の２つが双子島。
![[PukiWiki]](image/fuushi.gif "[PukiWiki]"){kind=small}
