◎「賣布神社」
島根県松江市和多見町81 地理院地図
主祭神:速秋津比賣神・水戸ノ神・祓戸ノ神
相殿神:五十猛命・大屋津姫命・枛津姫命
摂社神(和田津見社):櫛八玊神
社伝では櫛八玉神が速秋津比賣神を祀ったのが創建縁起という。
櫛八玉神は杵築大社の膳夫で、水戸ノ神(速秋津日子神・速秋津比賣神)の孫、水分神(天之水分神・国之水分神)の子。
元社地は南西方岩崎鼻(袖師浦)地理院地図であったといい、その後白潟に移り、更に現社地に移った。
松江というのは松の生えた入江というのが名称由来であるが、松江城築城以前にはこの付近は潟地であり岩崎鼻は潟地に突き出たやや高台であった。
古宍道湖と古中海をつなぐ水道の西側に速秋津比賣を祀る「賣布神社」があり、東側に速秋津日子神を祀る「由貴神社」がある。
出雲国造の代替わりの際、燧碓・燧杵の神事が行われるが、この燧碓・燧杵の神事は食事のための火を起こす神事であり、杵築大社では櫛八玉神に由来する。
朝酌の地に朝酌上社・朝酌下社(多賀神社)があるが、この両社は熊野神社の御餼を整える場所であり、賣布神社は杵築大社の御餼を整える場所であったのであろう。
賣布というのは和布(ワカメ)の事であるが、海藻の茂る場所は、稚魚などが育つ場所であり、古宍道湖と古中海の水道は、海の幸の神饌を整える場所として好適地であったのであろう。
相殿神として五十猛命・大屋津姫命・枛津姫命が祀られているが、この神々は木を植えた神々である。森林は山の幸を育む場所であることから祀られるようになったのであろう。
祓戸ノ神は大祓祝詞で祓戸大神として瀬織津比売・速開都比売・気吹戸主・速佐須良比売の4神が挙げられ、この内の速開都比売が速秋津比賣神と考えられていることから祭神に挙げられているのであろう。