◎「阿吾神社」
島根県出雲市斐川町阿宮296地理院地図
主祭神:彦火火出見神・豊玉姫神
「
彦火火出見はいわゆる山幸彦であり、豊玉姫は海神の娘で山幸彦の妻。
そういう神話が伝わり、城平山の神として奉られたのであろう。
この神社に合社された神社として「高野明神」がある。
下阿宮の高野地区にあった神社で、神名火山(仏経山)の宮隠し岩にあった「曽致乃夜社」(祭神:伎比佐加美高日子命)を移した神社と伝える。
明治の神社改めで、「高野明神」が延喜式に載る「曽只能夜神社」であると主張し、現在の「曽枳能夜神社」と争いとなったが認められなかった。
が、祭神と位置、経緯を考えれば「高野明神」が「曽只能夜神社」であると考えられる。
(「阿吾神社」は別途延喜式に載っている。おそらくは「阿宮神社」の誤記)
・神名火山(仏経山)で名付けたが、〚宮隠しの広庭〛・〚宮隠しの棚岩〛というのが「曽致乃夜社」の跡地で、里に降ろした際、元の社を宮隠し岩の下に残したものと思われる。
・現在の「曽枳能夜神社」は、伎比佐の大岩にあった「支比佐社」(祭神:伎比佐加美長依彦命)を里に移した際、現在の「本誓寺」近くにあった「韓國伊大弖奉神社」に移し、その後現在地に移転し、「曽枳能夜神社」と称し、主祭神を「伎比佐加美高日子命」とし、「韓國伊大弖奉神社」「伎比佐神社」を境内社としたのであろう。
一つの山に祀る神を、山麓の別地区でそれぞれ祭礼を行う例は各地に見られる。
阿宮側で伎比佐加美高日子命、神氷側で伎比佐加美長依彦命がそれぞれ祖神である「神魂伊能知奴志命」の祭礼を行っていたものと思われる。
大祭の際にはともに山頂近くの「審伎乃夜社」(曽枳能夜神社奥宮)に集い共同で祭礼を行っていたのであろう。