神社島根
◎「都武自神社」
島根県出雲市国富町1
主祭神:速都武自和気命
旅伏山の山中にある。
延喜式に「都武自神社」とあり、延喜式神名帳注-下-k171で「速飄別命」(ハヤツムジワケノミコト)と付記されている。
かつては「旅伏権現・旅伏神社」と称していた。
「速都武自和気命」は、風の神「志那都比古神」・「志那都比女神」の御子で渦風・旋風、所謂つむじ風を象徴し司る神である。
・「雲陽誌」楯縫郡ー2ーk4で「旅伏権現 事代主命奈里~」
(都武自神社)
(都武自神社)
(都武自神社)
(都武自神社)
・木の鳥居だが、前方に傾いている。
(都武自神社)
・小さな方の狛犬は阿像
(都武自神社)
・小さな方の狛犬は吽像。左右置き間違えたのであろう。
(都武自神社)
(都武自神社)
(都武自神社)
・軒先の反り返りが美しい。堂々たる拝殿である。
(都武自神社)
(都武自神社)
(都武自神社)
(都武自神社)
・鼻が落ちているが、頭襟がないので天狗ではなく佐太大神と思われる。
(都武自神社)
(都武自神社)
(都武自神社)
・左は稲荷社、破風の壊れた右は金鵄神社と思われる。
(都武自神社)
- つむじ風というのは、普通は平地に生じるものであり山中で生じるものではない。
この神社で速都武自和気命を祭っているのは、おそらくは多夫志烽と関係があり、烽から上る狼煙を渦風として祭ったものかと思われる。
旅伏山をタビフセヤマではなくタブシヤマと呼ぶのは多夫志に関係するのであろうが、旅伏・多夫志・つむじは音が類似しており、つむじをツムシとすれば更に近縁性は深まる。
- つらつら思うに、この後背の山に烽が置かれたことから、当初は烽山と呼ばれ、現社地に井戸が掘られ、水場として利用されていたのであろう。
その後社が作られ、烽から上がる狼煙の様子から速都武自和気命を祭り、都武自神社と称したと考えられる。都武自はトブジと読むことができ、トブヒに近しい。
その後縁起が色々考え出され、雲陽誌にあるように事代主命(積羽八重事代主命)を奉るようになり、この神が大和の国から父の元にやってきたとして旅伏山と呼ぶようになったものと思われる。
明治に入り、社名「旅伏権現社」を延喜式から「都武自神社」と改め祭神も「速都武自和気命」と改めたのであろう。
一部に『出雲国風土記』出雲郡にある「都牟自社」とするものがいるが、それはない。