神社a
○「伊草神社」(イガヤジンジャ)
島根県雲南市三刀屋町伊萱1096 地理院地図
主祭神:天津彦火瓊々杵尊・万幡豊秋津師比売命
元禄12年(1699)、伊萱宮ノ谷の「「杵瀬大明神(井草社)」と伊萱三田原の「市森大明神(毛利社)」を合社し現在地に祀ったという。
「出雲国風土記」飯石郡に記された「井草社」を称している。
(井草神社)
(井草神社 由緒)
(井草神社 拝殿)
(井草神社 拝殿内扁額)
(井草神社 本殿)
- 新しい社殿になっていた。
その為か妙によそよそしく異質感を覚えた。
それはともかくとして、「瓊瓊杵尊」やその母神「豊秋津師比売(豊秋津比売)」をなぜこの地で祀るのか得心できない。
飯石郡「三屋神社」に、この地は祭礼前の潔斎を行う場所「伊我屋」であると記しているから、記紀神話に基づく形式的付会の社なのであろうと思われる。
元は合社二社とも祭神が異なっていたものを変容させられてしまったように感じる。
「雲陽誌」巻7飯石郡・伊萱(k114・p214)で「杵瀬大明神 神號いまた考す、~【風土記】に載る井草社是なるへし、元禄年中建立」とあり、雲陽誌が記された享保2年(1717)には既に神名不明になっていたようであり、現在の祭神はこの後に定めたものと考えられる。
出雲風土記抄4帖k08解説では「貴那瀬大明神」とあるから、元社地が宮谷にあったことを考えると「貴船神」を祀っていたのが本来かと思われる。
「貴那瀬」を「杵瀬」に変えたのは、潔斎を行っていた杵築の神官たちによるものと思われる。
「貴那瀬」なら、「貴い瀬」で理解しうるが「杵瀬」では意味をなさない。