伊弉諾尊と伊弉冊尊
古事記では、伊邪那岐神と古事記:伊邪那美神
日本書紀では、伊弉諾尊と伊弉冊尊
さて、この神々について記さなければ、先に進めない。
神代物語で最初の重要な神々である。
実は、ここ2週間あまり記述が止まったのは、この2神についてどこまで触れるべきか
考えあぐねていたのである。(特に伊弉冊尊)
詳細は、著作に委ねる事とし、概説だけはしておく。
「イザ」という共通の接頭辞は、始まりを表している。
つまり、この列島神話の始まりを示しているのである。
「ナギ」と「ナミ」はすなわち、凪と波である。
「ナキ」と清音で記されるのは尊ばれたからである。
これら2神は、海洋民の親神として象徴されているのである。
その一方で、これら2神の説話、伝承は、具体的である。

この2神は、人神であり、抽象化され象徴化されて、今呼ばれる名が付けられている。
本来の神名は異なるのである。
この2神は、鳴門海峡周辺部を出自としている。
伊弉諾尊は、淡路島、より具体的には、一宮町。現「伊弉諾神社」
伊弉冊尊は、阿波国、徳島県美馬町、現「伊邪那美神社」がそれぞれの生誕地である。
婚姻の後、別離し、伊弉諾尊は九州へ、伊弉冊尊は出雲に転居した。
この間の物語が夜見の国の神話である。
伊弉諾尊の終焉地は、琵琶湖畔、現「多賀神社」であり、
伊弉冊尊の終焉地は、出雲、現「久米神社」である。

これら2神は、重要な人神であるにもかかわらず、記紀ではそれを隠している。
その理由は、現天皇家がこれら2神の直系系譜下に無いためである。
伊弉諾尊については、書紀一書2として、注目すべき記述がある。
国常立尊ー天鏡尊ー天万尊ー沫蕩尊ー伊弉諾尊、という系譜である。
不明の沫蕩尊を除いては、別記する。