八百万の神々
日本神話の神格には、幾つかの種類がある。最初にこの事について触れておく必要がある。
日本の伝統的宗教である神道では、人が死ぬと神となると考えている。
この場合、例えば日本太郎という人が死ぬと、「日本太郎命」という神名を持つ神として祀られるのである。
神武以後の神名はこの様に、人の神格化である。(人神と呼ぶことにする)

一方、自然崇拝的神名もある。
例えば、天照大神である。この神は云うまでもなく太陽神である。(自然神と呼ぶことにする)

更に、土地にちなむ神名がある。
例えば、壱岐島を、天比登都柱という。(地主神と呼ぶ事にする)

又、物実にちなむ神名がある。
例えば、布都御魂剣である。(物実神と呼ぶことにする)

日本で神と云うとき、この4種があることを理解しておく必要がある。
記紀を解題するに際して、この区別をきちんと理解しておかないと、ある神が人神なのか、
そうでないのか混乱が生じる事になるのである。