神名解題a

「金屋子神」

産鉄の神、タタラ師に奉祭される神
女性神と信じられている。

醜女で、美女を嫌うことから、たたら製鉄の際には女性たちは顔に墨を塗り金屋子神の機嫌を損ねないようにしたという。


初め、播磨国志相郡岩鍋(兵庫県宍粟市千種町岩野辺)に天降り、後に出雲国能義郡比田村黒田(安来市広瀬町西比田)に移ったという。
黒田には金屋子神社があり、それと解るのだが、岩野辺の方は良く解らない。
岩野辺字秋久にある二宮神社かとも思われるのだが、祭神にない。
境内社に岩野神社というのがあり、ここに奉られているのかも知れないが不明。

金山彦・金山姫と混同されることもあるようだが
金山彦・金山姫の御子神と思われる。
(金山彦・金山姫が夫婦なのか兄妹なのかは不明)

金山孫彦・金山孫姫という呼び名の神格がある。
共に金山彦・金山姫に同じとされるが、わざわざ「孫」を付けているのであるから別神格と考えるべきと思う。
してみると、金屋子というのは金山子で、女神であるから金山子姫と理解すべきなのであろう。

ところで、金山彦の系譜がかくも適当であるのは、この神を祖とする一族がいないが為であろうと思われる。
職能集団が共通に奉祭する神格であり、細々とした系譜を必要としなかったためであろう。
これは埴山彦・埴山姫についても同様。

この事は実は大事なことで、神は人が創るものであると云うことを意味する。
人が必要とするから神を創りだしたのであり、神が生まれその後人が生まれたのではない。
一族系譜の初めに神を位置づける例が多いのは、それを必要としたためである。
当たり前なことなのではある。

金屋子神が初め岩野辺に天降り、その後黒田に移ったと云うことは、職能集団が、その様に移動したことを意味する。そして更に各地に分散したのである。

ついでに、金山彦・金山姫は黄金(金)・白金(銀)・赤金(銅)・黒金(鉄)・水金(水銀)など金属全般の産出に関わる神であり、
金屋子神はその中で特に黒金=産鉄に関わる神である。
又、天目一箇神は鍛冶神であり、別系譜である。


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Last-modified: 2015-04-27 (月) 05:35:34 (3281d)