「物理学の果て」 デヴィッド・リンドリー著       文責:「風姿」
 二年ぐらい前に読んだ本。
NHK原発フォーラムに関わり、そういえば私の専攻は物理学だったと思い出して読み返した。
ここで紹介しても、一般受けする本ではないのでためらうが。
要は現代物理学の迷路状態を真摯に書き綴ってある本である。
最近スーパーカミオカンデで、クオーク変化の現象を捉えたという報道があった。
真偽は不明だが、事実とすれば大統一理論に又一歩近づけるかもしれない。

だからといって、世界が変わるわけではない。というのが物理学の迷路状態である。
物理学は他の諸科学に対して、先を急ぎすぎたのかもしれない。そんなことを考えさせられる本である。
現実には、物性物理や工学の方が現実社会への貢献度は大きいだろう。
しかし科学上の革命は理論物理学によって引き起こされる事に夢を持つ。

傍目には奇妙に映るかもしれないが、
私の意識の中では古代史論争も同じ範疇にある。

この様な意識で見ると、歴史教科書問題や、原発問題など、何と奇態なことが起きているのかと、
放下したくなる。

現代物理学、特に素粒子理論について概観し、解説した本なので、内容について触れる必要は無いだろう。
歴史物語とでも云った方が当を得ているかもしれない。