《被曝2世の会の今後について》     1999/04/10
被曝2世の会のあり方について考えている事を少し記してみます。
先日の全国被曝2世団体協議会に出席した際、広島の方から、
被曝2世の教職員が、教職を離れて後、活動や支援の母体を失ったという報告が行われました。
被曝2世というのは、組織や団体に規定されるものではありません。
一生涯を通じて一個人として、その立場を負うわけです。
とすれば、2世の会は本質的に、その様な個人の集まりとして在るべきなのではないかと
思うのです。

2世の会に入りませんかという呼びかけに対して、「何かメリットがあるのか」という
質問を受けることがあるそうです。
うーん。ニュースが届く位でしょうか。

2世の医療支援に関しても、今のところは何もなく、それ故活動をしているわけですが、
「医療支援が行われるようになったら、2世の会に入るけれども、行われなければ入らない」というのであれば、これは全く「あなた任せ」で何か割り切れない感じがします。
こういう人ばかりでは、広汎な活動は出来ませんから、いつまで経っても、医療支援を得られることはないでしょう。

一方で、2世でないにも関わらず、色々協力してくれる人達もいるわけで、とりわけ事務処理や対外的交渉の際には、大きな働きをしてもらっているのが実状であり、
現在の2世の会は、こういう人達の支援協力によって何とか活動し続けることが出来ているわけです。

今からおよそ二十年前に、2世の会の活動をはじめた際に比べると、会員も増え、横の連絡もあり、社会的にも認知されはじめてきており、そろそろ、きちんとした団体としての形態を整えなければならない時期に来ているのではないかと思うのです。
又、3世も多くなりつつある中で、2世ばかりに限った活動であることもできないわけで、こういう事も考慮に入れて、これからの2世の会のあり方を考える必要もあるでしょう。

私案
1.名称を「被曝2世の会」から、「被曝を考える会」にする。
2.規約等整備して法人化する。
3.会員を正会員、準会員、の構成にする。
4.会費の一部を積み立て、会員が緊急入院した際に医療費支援等を行う。

1について、
被爆問題は、原爆被曝者ばかりでなく、原子力発電所作業員などにも起こっています。
被曝という点では同質ですから、この問題も考えなければいけません。
又、在日高麗人被曝者や2世の問題も考える必要があるでしょう。
個々バラバラでは行政に対する交渉力が弱くなりますから、この様な人達とも協力しあいながら活動していく必要があると考えます。

2について、
現在被曝1世の会としては社団法人である被団協がありますが、
1世問題に手一杯の状態です。
2世3世に関しては、ほとんど手つかず状態ですから、私たちは私たちの自力で
独自の活動をしていく必要があると思うのです。
その基盤として、きちんと法人化しておく必要があると考えます。

3について、
2世の入会希望者の中には、プライバシー問題を憂慮する人達もいます。
その様な人達のために、準会員制度をとり、この準会員には2世ではない支援者も加われる様にして、ある意味ではその立場を曖昧にして隠れ蓑のようにする必要があると思います。

4について、
法人化の眼目の一つはここですが、現在のように2世に対して医療支援が全く行われていない現状の中では、緊急避難的にでも独自の保険制度を設ける必要があると考えています。
無論、自らの会費積み立てだけでは支援体制は貧弱でしょうから、法人化によって、明確に社会的認知を受け、広汎な寄付を得られる組織母体を作り、これによって、支援体制を強化出来るのではないかと考えているのです。

私が考えている、2世の会の今後のあり方の概要は以上のようなものですが、今後具体化するためにはまだまだ多くの問題点や、細かい煮詰めが必要になるでしょう。
ご意見、ご批判等お寄せ下さい。

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