祝詞(のりと)
神社に参詣し、お祓いを受ける際、神主がなにやら語る言葉を祝詞という。
大抵の場合、大祓の祝詞とよばれるものをベースにしているのであるが、余り理解されていない様なので、これについて記しておく。
最初、「ウォー」とか押し殺した声を上げているが、これは神様を呼びだしているのである。
その後、なにやら聞き取れぬ声で、ボソボソと独り言を言っている。
これは、これからあげる祝詞がいかなるものかを神様に告げているのである。

その後、祝詞に入る。
「高天原に神留(かむづま)ります、皇親(すめむつ)神漏岐(カムロギ)、神漏美(カムロミ)の命もちて、
八百萬の神等を神集へ集へたまひ、〜云々」
と続いていく。
此処で語られているのは、記紀の神代物語を要約したようなもので、伊弉諾尊が根ノ国から戻り、禊ぎ祓いをした頃までを物語るのである。
かく物語るのは、神々の事跡を称えると言う意味があるのだと思われる。
大祓の祝詞の場合、心身を清め、罪や汚れを祓うのが主眼であるから、素戔嗚尊の勝ちさびによる罪や、
伊邪那岐尊の根国行きによる汚れの様なものは無いということを、宣言する訳である。
この宣言をする事を、「宣る(のる)」といい、ここから「のりと=宣詞=祝詞」という言葉になったのである。

大祓の祝詞は、仏教で譬えれば、丁度、般若経の要約版である 「般若心経」 の様なものであり、
神道儀式の中心が、祓い清めの儀式であることを表していると考えられるのである。